今回は、パーキンソン病の歴史と疫学(原因や予防など

を研究する学問)についてお話させていただきます。

      香川大学医学部附属病院 脳神経内科診療科長
                        出口 一志
——————————————————————————————–


「善きサマリア人」

レンブラント・ファン・レイン
   (1606~1669)

 世界的に見て、脳の疾患で最も多いのはアルツハイマー型認知
症、次に多いのはパーキンソン病と言われています。そのような
中で、昨年、世界規模の研究において、パーキンソン病の患者数
が報告されました。それによると、全世界の患者数は、1990年の
250万人から、2016年には610万人(男性320万人、女性290万人)
へと増加していました。この理由として、パーキンソン病は高齢
者に多い疾患なので、人口の高齢化が進んでいるために患者数が
増加したのだろうと予想されます。しかし、同時に行われた調査
によって、高齢化イコール患者数増加という単純な図式では説明
できないことが示されました。そこには人口の高齢化以外の何ら
かの要因が加わっていると考えられています。
 年代別の有病率(人口当たりの患者数)は、85歳から89歳の
年代でもっとも高くなっており、男性は1.7%、女性は1.2%でし
た。すべての年代において、女性よりも男性の有病率が高いと
いう結果でしたが、日本では女性の有病率の方が高いともいわ
れています。実際、われわれの施設に通院されている患者さん
をみると、女性が多い印象を受けます。

 これまでの調査結果から、いくつかの環境因子がパーキンソン
病の発症に関与しているのではないかと言われています。例えば、
除草剤や殺虫剤などの農薬の取り扱い、乳製品の摂取は発症を
促進します。一方、喫煙、アルコールやカフェインの摂取、抗
酸化作用のある食品やサプリメントの摂取、運動の習慣などは
発症を抑制すると報告されています。しかし、全く関係ないと
する報告もあり、本当のところはよくわかっていません。した
がって、発症を促進するから乳製品を摂らないとか、発症を
抑制するからタバコを吸う、抗酸化作用のあるサプリメント
を大量に摂取するといった極端なことはしないほうがよさそ
うです。この中で、運動(リハビリ)は薬剤治療との両輪に
なるものであり、唯一お勧めできるものです。


パーキンソン病の話

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA