• 皆で悩み、皆で笑い、前に向かってあゆみはじめましょう!

    愛する私著「オンオフのある暮らし」 のその後
    代議員 浜田朋子

     2010年の春に私と二人の同病患者が「オンオフのある暮らし」(アルタ出版、1100円)という
    一冊の書籍を出版いたしました。共著者3人とも30年を超える病歴を抱えてはいましたが、病気
    あっても人生をしなやかに明るく生きていきたい、そういう思いで書いた本でした。このような
    本はアメリカにはすでにありまして、まずはそれを訳すことから始めました。しかし日本とアメ
    リカでは社会は相当に違いますから、アメリカで書かれた本は必ずしも日本において妥当ではない
    と気がつき、私たちが日本の私たちのためのものを書こうとしたのでした。 アメリカで書かれてい
    たその本は、特徴として、まず何よりも明るいこと、 病気であっても人生に希望を持ってることが
    目を引きました。それから読みやすさの点ですけれど 、Tipという形で書かれていて、一つのTipは、
    短い文章でそのタイトルについてのコメントを書いています。つまり下のような形です

    4. 無理をしない

     全てを自分でやろうとすると背負いきれないことがある。無理だと思ったら、他の人に頼ん で
    みよう。 PD 患者はストレスに弱いことを理解して、自分のこなせる範囲を超えてたくさん抱え
    込まないようにする。( 「オンオフのある暮らし」P14から抜粋)

     このようなTipを使った書き方は歯切れがよく、それぞれが独立しているので、暇な時にどこ
    でもパッと開いたページを読めばいいのです。出版後2010年のうちに2回増刷しまして印刷部数
    は一万冊程度であったと思います。新聞でも取り上げていただき、またラジオ番組てもインタ
    ビューを流してくださいました。それから10年が経ちます。私たちは今どうなっているのかそれを
    皆さんにお伝えしたいと思いま す。そして、あれほど力を入れて書いたこの本が今もなお皆さんの
    役に立つものかどうかということについて、私の考えをまとめてみたいと思います。そして許して
    いただけるならば 毎回の会報でこれらの点について思ってることを少しずつ書いていきたいと思い
    ます。

     まず結論は真っ先に言うべきものですから、それから始めます。私は「オンオフのある暮らし」は
    今でも患者の生きる道を示していると思います。内容を調べてみると、確かに古くなっ ている情報は
    いっぱいあります。でもそこには普遍の生きる道を示したものが多いのです。 だから、今もなおこの
    本は私の宝です。他方で自分が今どうなっているかと言うとこの本を書いた時に比べるとパーキンソン
    病は相当に進行しました。私は二十歳代で発病しましたから60歳に至るまでの30年余りの期間、全く
    進行しなかったわけではないけれども目に見えて悪くなるということはなく、少しずつ少しずつゆっく
    りゆっくりと進んできたのでした。 ところが60歳を超えて私が体験したものは今までとは全く違って
    相当程度に早い進行でした。とりわけ歩行についての障害が強くなりまして、私のQOL生活程度は低下
    したままです。このことは多分二人の共著者も同じだと思います。

     次から次へと新しい症状は出てくるようになりこれでもかこれでもかと病気に責められているような
    気がします。そうすると10年前に本を書いた時の症状とは違うのであの頃の記述はもう私には当てはま
    らないのです。でも私以外の患者さんはいっぱいいます。あの頃の私と同じように苦労されている方に
    は「オンオフのある暮らし」がきっと何かの役に立つと思 います。

     こういう点について次回から色々話したいと思いますが、今回は、まずこの本を楽しんでいただく
    ためにこの本のなかに散りばめられているコラムをいくつか紹介したいと思います。 これは私たちが
    面白いと思ったことを書いてみたのですがどうでしょうか。本に書かれている通りに転載させていた
    だきます 。

    「この広い世界の道が全て階段だったら」

     PD は今更言うまでもない変わった病気だ。オフの時足が一歩も前でなくてもどういうわけか階段は
    スイスイと登れることはよくある。年をとれば体力も弱くなってくるから、階段を何段も続けて登る気
    にはとてもならないと思う。でも若い患者の場合は違う。平らで広い道を恨めしく眺めながら考えてし
    まうだろう。「この道が全部階段でできていたらどんなによかったか。きっと自分は今のように前へ出
    ない足に苦しむことなく、踊るように、階段を登っていったのでなないか?

     その目にはきっとダンスを踊るように軽やかに階段を駆け上がっていく自分の姿が描かれてるだろ
    う。でも実はそこにまた落とし穴があって、登るのはいいが降りるのはちょっとおぼつかない。バラ
    ンスが悪いために登る時のようにスイスイとはいかず苦労しかねないのだ 。

    「白衣ジスキネジア」

     ジスキネジアは、日本語では不随意運動という。文字通り意図(随意)せず勝手に体が動くことを言う。
    発音しにくいため「不随運動」(ふずいうんどう)と表記しているのを見かけることがあるが、これは間違
    い。 ジスキネジアは意地悪である。出てもらいたくない時に限って出てくるような気がするからだ。

     ジスキネジアは L ドーパの血中濃度の急激な変化で起き、緊張・興奮すると余計ひどくなる。その
    ため主治医の前だと、驚くほどひどくなることがあり、患者が話していることよ り、目の前のジスキ
    ネジアが医師の注目を集めてしまうこともある。いつも起きているわけではなく。主治医の前など緊張
    している時に起こりやすいということも理解してもらう必要がある。患者の状態を医師に正しく伝える
    のは本当に難しいものだ。


    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    CAPTCHA